- "r > g"って何?初心者向けにわかりやすく解説!
- 1. 「r」と「g」って何?
- 2. 「r > g」ってどういう意味?
- 3. 実際に「r > g」は成り立っていたのか?
- 4. 「r > g」の影響とは?
- 5. 投資家として「r > g」をどう考える?
- 6. まとめ
"r > g"って何?初心者向けにわかりやすく解説!
投資や経済の話をしていると、「r > g」という記号を目にすることがあります。これはフランスの経済学者 トマ・ピケティ が『21世紀の資本』という本の中で提唱した概念です。簡単に言うと 「資本の成長率(r)」が「経済の成長率(g)」よりも大きい状態 を指します。
この考え方を理解することで、投資の重要性や経済の仕組みをより深く知ることができます。本記事では、初心者でも理解しやすいように「r > g」について詳しく解説していきます。
1. 「r」と「g」って何?
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「r」=資本収益率(Rate of return on capital)
→ お金や資産がどれくらいの割合で増えるかを表す。 → 例:株や不動産の投資リターンが年5%なら、「r = 5%」。 -
「g」=経済成長率(Economic growth rate)
→ GDP(国内総生産)がどれくらい成長するかを表す。 → 例:ある国の経済が年2%ずつ成長するなら、「g = 2%」。
2. 「r > g」ってどういう意味?
「r(資本の成長率)」が「g(経済の成長率)」よりも高い場合、つまり 資本を持っている人の富の増え方が、働いて得られるお金よりも速い ということになります。
例えば、
- 株や不動産を持っている人の資産が 毎年5%増える(r = 5%)。
- でも、労働者の給料は 経済成長率と同じ2%しか増えない(g = 2%)。
この状態が続くと、お金を持っている人(資産家)がどんどんお金持ちになり、持たざる者との格差が広がる という理論です。
3. 実際に「r > g」は成り立っていたのか?
ピケティは、過去200年以上の歴史的データを分析し、「r > g」がほとんどの時代で成り立っていたことを示しました。
具体的には、
- 18世紀から19世紀(産業革命前後)の資本収益率は約4~5%で、経済成長率は1~1.5%だった。
- 20世紀前半(世界大戦期)は資本収益率が約4%、経済成長率は1~2%とほぼ変わらず。
- 1950年から1970年の戦後復興期は経済成長率が3~5%に上昇し、一時的に「g > r」の状況が発生した。
- 1980年以降、金融資本主義の時代に入り、資本収益率は再び4~5%に戻り、経済成長率は1~2%に低下した。
特に 1980年以降の新自由主義経済の時代では、rがgを大きく上回る状況が続いています。
例えば、
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米国(1980年~2020年)
- S&P 500の年間平均リターン(r)は約7~8%
- 米国GDP成長率(g)は約2~3%
- → 「r > g」の状態が続いている
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欧州(1980年~2020年)
- 株式・不動産のリターン(r)は約5~6%
- GDP成長率(g)は約1~2%
- → 「r > g」が継続中
4. 「r > g」の影響とは?
ピケティは「r > g」が続くことで、 資産を持つ人がどんどん裕福になり、持たない人との格差が拡大する と主張しました。
「r > g」が続く理由
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資本のリターンは自己増殖する
- 株や不動産を持つ人は、配当や利息を再投資できるため、rが高くなりやすい。
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経済成長(g)は人口増加と生産性の伸びに依存
- 先進国では少子高齢化が進み、gが低迷しやすくなっている。
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金融緩和と低金利政策が資産価格を押し上げる
- 中央銀行の政策により、資産価格(r)が上昇しやすい環境が続いている。
5. 投資家として「r > g」をどう考える?
「r > g」が続くなら、 労働収入だけでなく、資産を持ち、それを増やすことが重要 です。
- 働いて稼ぐだけでなく、株や不動産などの資産を持つ。
- 資本を持つことで、「r(資本収益率)」を享受する。
- 長期的に見ても、資産運用をする方が有利になる。
つまり、「r > g」の世界では、投資をすることが富を築くための重要なポイントとなる ということです。
6. まとめ
- 「r > g」 とは、資本収益率(r)が経済成長率(g)よりも高い ことを意味する。
- 歴史的に見ても、rはgを上回ることが多かった。
- 特に1980年以降、rがgを大きく上回る状態が続いている。
- この状態が続く限り、投資をすることが富を築くために重要になる。
ピケティの理論は単なる経済学の話ではなく、個人の資産形成にも大きく関わる考え方です。「r > g」が続く限り、投資をして資産を増やすことが賢明な戦略となるでしょう。
(2025/1/13)