別記事にて、配当性向という単語を使っておりますので用語に関する簡単な解説です。
(最終加筆修正日2024/5/31)
配当性向とは
一言で表すと、会社の利益のうち何%を配当金として株主に支払ったかという指標です。
例えば2024年の売上が1,000、経費が900の会社Aがあった場合、A社の利益(手元に残るお金)は100となります。
A社が株主に対して20の配当金を支払っている場合は配当性向20%、100の配当金を支払っている場合は配当性向100%という計算になります。
※厳密には利益=手元に残るお金ではないですが正確に表現すると理解し辛くなるため割愛します。
つまり配当性向が高ければ高いほど、利益の大部分を配当金として株主に還元している企業であると言い換えることができます。
注意したいこと
「配当性向が高いほど、利益を株主に還元している」と書くと、配当性向の高い会社ほど株主想いの良い会社と思われかねませんが、それは必ずしも正しくはありません。
高い配当金を出すことは、当然に企業の手持ち現金が減ることとイコールです。
手持ち現金が減少した場合、大規模な設備投資や研究開発、人的資本への投資が抑制されます。それらが経常的なものになってしまうと、企業自身の競争力が落ち、利益の減少や株価の下落に繋がります。
また、高すぎる配当性向は企業が無理をして(資産の売却や借入等)配当を支払っている可能性があり、近い将来に減配(配当金を減らすこと)になることも多々あります。
それでは次に、じゃあ具体的にはどのくらいの%が目安になるの?という点を見ていきます。
配当性向の目安
一般的には50%を超えると高いと言われ、20-40%程度であることが多いです。
ただしこれはあくまで目安であり、業種や企業方針によって大きく左右されます。
歴史の古い成熟した企業で、大規模な設備投資を必要としない業種などは高くなりがちです。業種としては小売や医薬品、サービス業などの配当性向は高い傾向にあります。
逆に、歴史の浅い企業や常に大規模な設備投資が必要となる業種は配当性向が低くなる傾向にあります。業種でいうと運輸・輸送、鉱業、倉庫業などです。
配当性向の使い方
ここまで読んでいただいても、なんだか結局どのくらいが良いのかわかんないよ。と思われる方が多いかもしれません。
実際に配当性向は、PBRなどのようにストック情報を基にした指標ではないので、同じ企業でも年度によって全く違う数字が出てくることが多々あります。当期純利益を分母としているので、赤字の年などは計算不能だったりもします。
そのため、「配当性向が30%だから買いだ!」という使い方は基本的にしません。
私個人としては下記のような使い方をすることがあります。
①配当利回りが「安定して」高く、かつ、配当性向が「安定して」低い企業は、おそらく長期的に高い配当を出し続けてくれる+増配(配当金を増やすこと)の余地も十分にあるため、購入を検討する。
②配当性向が異常値レベルで高い(80%を超え100%に近い、あるいは100%すら超えている)企業は利益が急激に落ちていたり、かなり無理をして配当を支払っている可能性が高いため、購入しないようにする。
まとめ
配当性向の高低のみで購入企業を選定することはありません。
が、複数年度分を並べてみると、何となくの企業の性格や、異常が起きていないかを知ることができる指標です。
購入を検討している銘柄がある方(とりわけ配当金を重視して企業を選ぼうとしている方)は配当利回りだけでなく、配当性向も一度目を通してみてはいかがでしょうか。