逆イールドとは?初心者でもわかる景気後退のサインを解説
投資のニュースを見ていると、「逆イールドが発生した」「景気後退の予兆か?」という言葉を耳にすることがありますよね。でも、「逆イールドって一体なに?」という方も多いのではないでしょうか。
今回は、投資初心者でも簡単に理解できるように、「逆イールドとは何か」、そして過去の事例から「景気後退と逆イールドの関係」をわかりやすく解説します。
逆イールドとはなにか?
まず最初に、逆イールドとは「短期の金利が長期の金利よりも高くなってしまう状態」を指します。
通常、金利というのは、短期の方が低く、長期の方が高くなるのが普通です。これは長期間お金を貸すほど、返ってくるリスクが高くなるため、その分リスクに見合った利回り(リスクプレミアム)がつくためです。
しかし、これが逆転して「短期金利の方が高い」という異常な状態を「逆イールド」と呼びます。
なぜ逆イールドが起きるのか?
逆イールドは主に2つの理由から発生します。
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中央銀行が短期金利を引き上げる 中央銀行(アメリカのFRBなど)がインフレを抑えるために政策金利を引き上げると、短期金利が急上昇します。
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将来的な景気悪化への懸念 将来的に景気が悪化するだろうと投資家が予想すると、将来金利が下がることを見込んで長期債を買います。これにより長期金利が低下します。
この2つが重なることで、「逆イールド」が生じるのです。
逆イールドが景気後退のサインである理由
実はこの逆イールド、歴史的には景気後退の前兆として非常に高い確率で現れています。
特に米国市場では、過去約70年間で逆イールドが起きた後、ほぼ毎回景気後退が訪れているのです。景気後退の前に逆イールドが起きる理由は、投資家が将来的な不景気を予測し、資産を安全な債券に移す動きをするからです。
過去20年の逆イールドと景気後退の実例
具体的に過去20年間のケースを振り返ってみましょう。
① 2000年:ITバブル崩壊
2000年前後に逆イールドが発生。その後の2001年に米国経済は景気後退を迎えました。原因はドットコムバブル(ITバブル)の崩壊でした。
② 2006~2007年:リーマンショック
2006年から2007年に逆イールドが起こり、1年~1年半後の2008年にはサブプライムローン問題を発端としたリーマンショックが発生。世界中が大きな不況に陥りました。
③ 2019年:新型コロナショック
2019年8月頃に逆イールドが発生し、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大が引き金となり、急激な景気後退が世界的に広まりました。コロナ以前からすでに景気減速の兆候はあったとも考えられています。
④ 2022年~現在:未確定だが警戒中
2022年7月頃から逆イールドが発生し、2025年の現在でもまだ解消されていません。この状況は過去最長クラスとなっており、市場では「このまま景気後退に入るのか?それとも今回は違うのか?」という議論が続いています。
逆イールドが出たとき、投資初心者がすべきこと
逆イールドは景気後退のサインである可能性が高いため、初心者の方は慎重な行動を心がけましょう。
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株式やリスク資産の割合を減らして、安全資産(債券や現金など)を増やす。
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景気後退が本当に起きる可能性があるため、資金に余裕を持たせておく。
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積立投資を行っている場合は、焦らずに淡々と積み立てを続ける(安く買える機会になるかもしれません)。
無理に動かず、「安全重視」の方針で乗り切るのが初心者にとってベターです。
まとめ
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逆イールドとは、短期金利が長期金利を上回る異常な状況のこと。
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過去のデータでは逆イールドの発生後はほぼ毎回景気後退が起きている。
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現在も逆イールドは続いており、市場は今後の動きを慎重に見守っている。
逆イールドを理解しておくことで、景気後退の兆候を早めに察知し、投資戦略を安全に切り替えることができます。初心者の方も、ニュースなどで逆イールドの言葉を見かけたら、注意深く市場を観察してみましょう。
(2025/3/29)