【初心者向け】スタグフレーションとは?株や債券への影響をわかりやすく解説
投資や経済ニュースで時々耳にする「スタグフレーション」。これは一体どんな状態で、私たちの資産にどのような影響があるのでしょうか?今回は投資初心者の方に向けて、できるだけわかりやすく解説していきます。
スタグフレーションとは?
スタグフレーションとは、「経済が停滞(スタグネーション)しているのに、物価が上昇(インフレーション)してしまう」状態を指します。
通常、景気が良ければ物価は上昇し、景気が悪ければ物価は下がるのが普通です。しかしスタグフレーションはその常識を覆す厄介な現象なのです。
スタグフレーションの特徴
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景気が悪化し、企業の利益や給料が伸びない
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物価は上がり続け、生活コストが高くなる
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失業率が高まる一方、実質的な生活水準が低下する
なぜスタグフレーションが起きる?
主な原因として、
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石油価格の急騰や災害、戦争などによる「供給ショック」
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過度な金融緩和政策によりインフレが進むが、経済活動は回復しない
などが挙げられます。
スタグフレーションになると資産価格はどうなる?
スタグフレーションが起きると、株式や債券などの資産には次のような影響が出ます。
① 株式価格への影響
株式価格は基本的に下落します。その理由は、
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企業の利益が景気悪化とコスト増で減少する
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生活費が上昇し、消費が減って企業の売上も落ちる
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中央銀行が物価抑制のために金利を引き上げる可能性があり、企業の借入コストが増える
特に影響を受けにくいのは食品や日用品、医薬品などの生活必需品セクターです。
② 債券価格への影響
債券価格も下落しやすくなります。理由は、
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インフレが進むと中央銀行が金利を引き上げるため、債券の価格が下がる
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固定利息の価値がインフレによって目減りする
特に長期債は大きく下落する可能性があります。
③ その他の資産(金・コモディティ・不動産など)
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金(ゴールド):安全資産として価格は上昇することが多い
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コモディティ(原油・穀物など):インフレによって価格が上昇
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不動産:物価上昇には強いものの、金利上昇や景気低迷で価格の伸びは限定的
2025年現在、日本とアメリカはスタグフレーションの兆候がある?
日本の状況
日本は2025年現在、長引く物価高が続いています。一方、賃金は物価上昇ほど伸びず、実質賃金は低下傾向にあります。この状況はスタグフレーションの兆候と見られることがあります。ただし、日本の物価高は主に海外からの原材料価格の高騰(外的要因)が原因であり、国内の景気が著しく悪化しているわけではないため、完全なスタグフレーションとは言い切れません。しかし、生活実感としてはスタグフレーションに近い苦しさがあると言えるでしょう。
アメリカの状況
アメリカは2025年、物価が高止まりし、FRB(連邦準備制度理事会)が利下げを進めているにもかかわらず、インフレ率がなかなか低下しない状況が続いています。特に個人消費がGDPの多くを占めるアメリカにおいて、クレジットカードの延滞率やBNPL(後払い決済)残高が増加していることから、景気停滞の兆候が見え始めています。
このような状況は、スタグフレーションの前兆と指摘する専門家もいますが、失業率はまだ低いまま推移しているため、本格的なスタグフレーションには至っていません。ただ、これらの指標が悪化すると、アメリカもスタグフレーションに陥る可能性があります。
投資初心者がスタグフレーションで気をつけるべきこと
スタグフレーションは通常の景気サイクルとは異なり、投資判断が非常に難しい状況です。
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株式や債券など一種類の資産だけでなく、金やコモディティを含めた分散投資を検討する
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経済ニュース、特に中央銀行(日本銀行、FRBなど)の政策動向を注意深く観察する
こうした基本的な備えを持つことが大切です。
まとめ
スタグフレーションは、「景気が悪いのに物価が上昇する」という非常に厄介な経済状況です。株式や債券価格が下落しやすく、金などの安全資産への需要が高まります。
初心者としては、資産の分散を心がけ、ニュースや経済指標をよくチェックする習慣をつけると安心です。
ぜひこの機会に、資産運用の知識を広げ、将来のリスクに備えましょう!
(2025/3/26)