先日はPERとROEを紹介しましたので、次も頻出の株式指標であるPBRについて書いていきます。
PBRとは何かを解説
PBRは、英語で“Price Book-value Ratio”の略称で、日本語では“株価純資産倍率”を意味します。これは株価が企業の純資産に対してどれだけ評価されているかを示す指標です。計算式は次の通り。
PBR = 株価 / 1株あたりの純資産 (BPS)
1株あたりの純資産 (BPS) とは、企業の純資産を発行済株式数で割った値です。
PBRの見方
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PBRが1倍
株価が企業の純資産と等しいことを意味します。- PBRが1倍未満:株価が純資産以下に評価され「割安」と見なされる場合があります。
- PBRが1倍以上:株価が純資産を上回り「割高」とされることもあります。
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業種ごとの違い
業種によってPBRの水準は違います。たとえば、銀行業や不動産業はPBRが低めになりやすく、ITやテクノロジー業界は高めになる傾向があります。
PBRを活用する際の注意点
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純資産が正確でない場合
企業の資産価値が帳簿上の評価にしかすぎない場合、実際の価値と不一致していることがあります。例:土地や不動産の含み相報、ブランド価値など。 -
低PBRが必ずしも買いではない
PBRが低い理由として、企業の成長力不足や財務リスクの高さが影響している場合があります。 -
業界特性を考慮
PBRの水準は業界によって違うため、同業他社と比較して評価することが重要です。
日本企業の業種ごとのPBR
- 情報・通信業: 2.4倍
- サービス業: 2.1倍
- 医薬品: 1.7倍
- 小売業: 1.7倍
- 精密機器: 1.6倍
- 電気機器: 1.3倍
- 食料品: 1.3倍
- 不動産業: 1.1倍
- 陸運業: 1.4倍
- 建設業: 0.9倍
- 鉄鋼: 0.5倍
- 銀行業: 0.3倍
日本と米国のPBRの平均
- 日本: 日経平均株価のPBRは約1.3倍、東証一部全体のPBRは約1.4倍となっています。
- 米国: S&P500のPBRは約4.5倍と高めになっています。
米国のPBRが日本より高い理由として、成長力や財務状況の違いが挙げられます。たとえば、米国はハイテク業界の比重が高いことや、株主還元への積極的な姿勢が影響しています。
まとめ
PBRは企業の割安性を表す一つの指標ですが、純資産の評価や業界による違いを考慮しながら判断することが重要です。もし割安な株を探す場合には、PBRだけでなく、他の指標や財務状況も総合的に検討しましょう。
(2024/12/15)