投資初心者向け!外国税額控除をわかりやすく解説
海外株に投資すると、「外国税額控除」という言葉をよく目にしますよね。聞きなれない言葉で、初心者の方には少し難しく感じるかもしれません。この記事では、外国税額控除について、初心者でも理解しやすく解説します。
外国税額控除とは?
外国税額控除とは、簡単に言えば「海外と日本で同じ配当金に二重で税金がかかることを防ぐための制度」です。
例えば、米国株に投資し、配当金が1万円入った場合を考えてみましょう。
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まず米国で源泉徴収として約10%の税金(1,000円)が引かれます。
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残り9,000円が日本に送金され、さらに日本国内で約20.315%の税金(約1,828円)が課されます。
何もしなければ米国と日本の両方で税金を払うことになり、実際に手元に残る金額が少なくなってしまいます。ここで登場するのが「外国税額控除」です。
外国税額控除を利用すると、米国で引かれた1,000円分を日本で支払うべき約1,828円から差し引くことができます。結果、日本で払う税金は約828円だけとなり、二重課税を防ぐことができます。
実際の手取りで比較してみよう
ここで、外国税額控除をした場合としなかった場合の手取り額を具体的に比較してみましょう。
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外国税額控除をしない場合
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米国での源泉徴収(1,000円)+日本での課税(1,828円)=合計2,828円
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手取り額=10,000円-2,828円=7,172円
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外国税額控除をした場合
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米国での源泉徴収(1,000円)+日本での課税(828円)=合計1,828円
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手取り額=10,000円-1,828円=8,172円
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つまり、外国税額控除を利用するだけで手取りが1,000円も増えることになります。この差は積み重なると非常に大きな差となるので、外国税額控除の利用はぜひ検討しましょう。
外国税額控除の方法
外国税額控除を受けるには、毎年の「確定申告」が必要です。海外株を取り扱う証券会社から発行される「外国株式等配当金支払通知書」を使って申告します。少し手間ですが、投資効率をアップさせるために覚えておくと良いでしょう。
国ごとに違う外国税率
外国税は国によって税率が異なります。日本から投資できる主な国の税率を見てみましょう。
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米国:10%(日米租税条約によって本来の30%から軽減)
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英国:0%(非課税)
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中国:10%
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韓国:15.4%
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台湾:21%
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カナダ:15%
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オーストラリア:15%
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フランス:12.8%
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ドイツ:15%
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シンガポール・香港:0%(非課税)
特に英国、シンガポール、香港は配当に外国税がかからないため、配当を目的とした投資には非常に魅力的です。米国も税率が軽減されており、多彩な投資対象があるため人気です。一方で台湾のように税率が高めの国もありますので、注意が必要です。
外国税額控除のメリットと注意点
メリットとしては、二重課税を防ぎ、税負担を軽減できることです。一方で、確定申告の手間や、控除額に上限があることには注意が必要です。
投資初心者のうちは特に米国株や英国株など、税率が低く投資効率の良い市場から始めると良いでしょう。
まとめ
外国税額控除は、海外投資において重要な制度です。国ごとの外国税率を理解しておけば、より効率的な投資が可能となります。特に米国株や英国株、シンガポールや香港市場は配当課税の面でメリットが多く、初心者にもおすすめの投資先です。
少しの手間で大きな節税効果が期待できる「外国税額控除」、ぜひ活用して資産運用を有利に進めていきましょう。
(2025/3/30)